シルフル小説 ユリ編2話
 

前回 戻る 次回

 

市内の図書館 ここは常に静けさが漂う場所だ

勉強にいそしむ者 読書を趣味とするものなど多くの者が本に集中してる

この静かな場所にて 静かに戦いの火蓋がきられていた

受講料の代わりに幸福堂という高級和菓子店から苺大福を買わせようとする ミント なのだが

勉強を終えた姉 愉利(ユリ)は 和菓子店とは反対の繁華街に遊びに行こうとしているのだった

『主よ ここは素直に大福の値を教え 代をもろうてはどうじゃ?』

ミントの内に宿る式神 狛治(こまち) が案をだす

『姉さんは値段を聞けば絶対に出してくれない人なのだ 

 買わせるにはやはり引けない状況をつくりだすしかないと思うのだ』

『確にな あの者はケチではあるが・・・ 

 まぁ あの年頃では欲しい物が尽きぬため金欲はぬぐえぬだろうがなぁ』

愉利のことをよく知るミントは値を聞くと買ってはもらえないという確信があった

狛治もその言葉に賛同する

「ねえミント そもそも何処の店で大福を買おうとしてるの?」

愉利がミントにたずねる

「こ・・・幸福堂と言う店なのだ」

店名がわかれど分かったところでどれほどの店か愉利は判別できないと思い ミントはその名前を教えた

愉利は少し考えた堂のつく和菓子店というのはそこそこの店だ 

それなのにこの大食らいのミントが言った報酬はたかが苺大福2個 何か腑に落ちない

「幸福堂ね ん〜知らない名前だわ ここの図書館はパソコンが置いてあるからちょっと調べてくるね」

そう言って図書館のパソコンに行こうとるす愉利を見てミントが焦る

「ま、ま、待つのだー そんな事してる時間があったらさっさと買に行ってから遊びにいくのだ」

即座に愉利の正面にミントは回り込み 手を掴むと即座に図書館の出口に歩き出した

「わかったからそんなに引っ張らないでー」

ミントの勢いに負け 出口へと愉利は一緒にあるきだした

「その幸福堂ってのは何処にあるの?」

愉利は場所に関してミントにたずねる

「えっと商店街の端っこなのだ ここからだと歩いて15分くらいなのだ」

「15分ちょっと遠くない?」

幸福堂までは15分だが繁華街の位置は間逆のため再びこの図書館がある辺りまで戻ってこないといけない

愉利は手持ちの時計をみた

「今5時だけど7時過ぎには家に帰りたいのよねー」

ここから繁華街までも約5分程度 帰りに駅まで歩く時間 電車 家まで帰る時間を計算すると

幸福堂に行くと1時間しか遊ぶ時間が無い計算になる

愉利は考える遊ぶには1時間では微妙な時間 1時間半ならカラオケでそこそこ楽しめる

「さあ愉利姉さん早歩きで行くのだ〜」

ミントが愉利を急かす 

愉利は一瞬悩んだがここでぐずぐずしていても時間が経つだけであり

そもそもミントは食べ物のことに関して 考えを譲るはずも無いことをユリは思い出した

「ったく しょうがないわね 早く買って遊びに行きましょう」

愉利は腹を括り商店街に歩き出した

10分くらいは歩いただろうか 二人はいつもより駆け足だったため幸福堂が見える位置まで来ていた

「愉利姉さん あそこが幸福堂なのだ」

ミントが喜んで指を刺す しかし愉利の目線は違うところにあった

「何を見てるのだ」

ミントがたずねた

「ここの掲示板を見てたのよ ここの商店街のいろいろな広告が張ってるの」

「何か欲しい物でもあったのだ?」

広告を見つめる愉利にミントが質問する

「古いゲームを売ってるお店の広告を見てたの 面白いゲームがかなり安く売られてて」

掘り出し物の発見に愉利が目を輝かせている

「このRPGのゲームが1000円!? これが500円」

「おお凄いのだ」

「・・・クエスト13が2000円・・・ティー1800円」

「凄く安いのだ」

「・・に鬼神1300円 栗金団1200円 水饅頭1400円」

「うん うん」

「苺大福1500円・・・なにこれ」

「ふぇ?」

「さすがにこの値で買うのは有り得ないわよね」

「なーーーーーー!!」

愉利が見ていた広告はいつの間にか幸福堂の物に変わっていた

ミントには不運なことにそのゲームショップの広告の隣が幸福堂の広告であった

「あんた こんな高いもの私に買わせようとしていたわけなの?」

その値に怒り 震える愉利

「私の受講料が3000円では高くは無いと思うが?」

そこに狛治が出てきて場を収めようとする

「計算はできてもお金の価値は計算できないのか あほ犬!」

3000円 特に学生の身になるとその額はさらに重い 愉利の口から罵倒の言葉が出る

「いくらで有れ報酬は報酬だ 払わぬとなると人の道に反するとは思わぬかぇ?」

「端からぼった来るつもりの詐欺師に払う金なし!法律もそう言っているわ!!」

愉利は怒りのあまり踏み倒しにかかっていた

『主よ 今の状況で私では口喧嘩しても勝てそうにないぞぇ』

『困ったのだ・・・ 苺大福は目の前だったというのに』

『ここは何とかして買わせる案を出さぬといかぬな』

ミントの心の中で瞬時に会議が行われる

っとその時ミントに案が浮かんだ

「愉利姉さん 早くしないと遊ぶ時間が無くなっちゃうのだ〜」

「そうね もうここに用は無いから一人で遊びにいくわ」

愉利がそういって繁華街方面に行こうとした時 すでにミントが道をふさいでいた

ミントは運動神経が凄く良くさらにミントだけではなく狛治も中にいるため反射神経は人並み以上

「愉利姉さん 早く買わないと時間が無くなっちゃうのだ は・や・く・ぅ」

言葉も不快だったがミントは目を細め斜め上から見下ろす感じでいいはなったのも愉利の感に触った

「いいわ・・・ここは力ずくで通るしかないようね」

「むぅぅぅ やる気なのだぁ? なら受けて立つのだ」

『うむ そのようだな主よ 全力で援護してやるぞ』

一触即発の状況だったが そこに愉利が提案を出した

「万が一あんた達が勝ったら大福のお金 耳をそろえて払ってやろうじゃない」

「おっ 愉利姉さんにしては気前のいい条件なのだ」

「ただし私が勝ったら3000円払ってもらうわ」

「OKなのだ さっさとかかって来るのだ」

その条件をあっさりと飲むミントに愉利は多少唖然とした

『主よ 条件は聞いておったか? 報酬を貰うはずのわれらが払うとはいささか理不尽ではと思うのだが』

すかさず狛治がミントに問いかける

『・・・か 勝てばいいのだ・・・』

『条件をちゃんと聞いてはおらなんだようだな・・・・』

ミントは二つ返事で返してしまったようだ 狛治はあきれた様子

そこへ愉利が

「ほら 受け取りな」

そういいつつ紐のような物をミントに投げ渡す

「何なのだ これは?」

「タグよ それを服の端につけて先にとった者が勝ちのルールよ

 もしかしてあんた いままでただ殴りあうつもりでもいたの?」

ミントと狛治は殴りあう気満々でったた 狛治から みぞおち や 首元 など一撃でダウンさせられる場所の

享受が今にも始まるとこだった

『タグ戦? 狛治 私はそんなのやったことないのだ』

『私も無い っがとりあえず殴って動けなくすればよいのであろう』

二人の中では物騒な話になっていた

「ちゃんと付けた? じゃあはじめるわよ」

臨戦態勢に入る両者 だが愉利にはひとつ策があった

(くく タグに気を取られて道を開けたら最後そこを突っ切ればおしまい)

その策はミントが道を開け次第逃げ出すものだった

二人が目をあわすとすかさずミントが突進を仕掛けてきた

愉利もミント目掛けて駆け出す

そして鈍い音と共に互いの頭に衝撃が走った

「何を馬鹿なことをしている お前たち・・・」

そこには長身で青く長い髪をした男が立っていた

彼の名は裏緒=シルフ(リオ=シルフ)彼女らの兄であった

愉利 ミントはその場にしゃがみこんで居る 二人が受けた衝撃とは裏緒のげんこつであった

「いっったいいー!」

声を上げる愉利

「うおお うぐぐ」

頭を抱えるミント

「兄さんが何でこんな所に?」

愉利が突如現れた裏緒に驚き問いかける

「どうしても何も いつも帰りにここの商店街で晩飯の材料を買いに来てるのだが」

裏緒の勤めている警察署はこのすぐ近くでここの商店街は通勤時の通り道なのであった

「そもそも争いの原因はなんだ ちゃんと説明しなさい」

裏緒が二人に問いかけると 愉利とミントは一連のいきさつを話した

「・・・はあ それで喧嘩になった訳か」

「約束を破った姉さんが悪いのだぁ」

「あんたが たっかい物買わそうとしてたからでしょうが」

二人が再び口論を始めそうになる

すると裏緒が

「二人とも いいからちょっとついて来なさい」

二人は静かになり裏緒の方を向いた 

そして裏緒は静かに口論の原因となった幸福堂に向かって歩きだす

「ちょっと兄さん 私は大福なんて買わないわよ」

「分かっている」

愉利は自分が報酬を払わなかったため 無理やりでも買わされるかと思い言葉が出る

しかしどうやら裏緒の考えは違ったようだ そして

「ほら ミント 苺大福2個これで良いんだろ」

「兄さん ありがとうなのだー」

うれしそうにミントは苺大福を受け取った

「ほら 愉利も」

「え? 私は別に・・・」

「ミントがあれだけ必死になって買わそうとした大福だ

 食べてみないと どうしてそんなに必死になったかわからないだろ」

裏緒は愉利にも苺大福を渡した

どちらも引かないことを察し裏緒は二人に苺大福を買ってあげたのだった

「このことは遊美(ユミ)達には 内緒だからな

 そこにペンチがあるからそこで食べて帰ろう」

他の兄妹達には黙って置くように伝え 裏緒達はベンチに腰掛た

愉利とミントは早速 苺大福を食べ始めた

「ん〜 おいしいのだぁ 兄さんありがとうなのだ〜」

ミントは至福の表情を浮かべつつ苺大福をほうばっていた

「愉利はどうだ おいしいか?」

「・・・うん 凄く美味しい」

その苺大福の味は格別であった 愉利はミントがそこまで必死になった理由が少し分かった気がした

そして二人が苺大福を食べ終わるのを見ると 裏緒はベンチから立ち上がった

「さて 晩飯の材料を買って帰ろうか 今晩食べたい物はあるか?」

「ハンバーグが食べたいのだ」

すかさずミントが食べたい物を答えた

「愉利は?」

「・・・私もハンバーグがいい」

ミントに合わせる様に愉利もハンバーグと答えた

そして三人は商店街の中に向け歩き出して行った

愉利は今までは形に残る物にお金を掛けるべきだと思っていたが

たまには食べ物のような形には残らないが心に残る物にも

お金を掛けてもいいかなと思い始めていた

 

シルフル 愉利編 終

 

 

 

 前回 戻る 次回

 

inserted by FC2 system